「冬の女王が、最初の笛を吹き鳴らしたらしい」(田中芳樹著『七都市物語』)―木枯らし1号が報じられて10日ほど。立冬過ぎて朝晩冷え込みは増し、日向はまだしも木陰に入れば微風すら冷たい。
寒さに誘われるように世間では鍋物の話題が盛んだ。おでんや寄せ鍋など、食せば心も体も、そして〝懐具合〟もポッカポカ…とは今年は行かないかも。
アラスカのスケソウダラ漁獲制限や世界的なカニカマブーム、おせち商戦の影響もあり鍋物に欠かせない練り物の価格が高騰。内容量を減らしている商品もあるとか。
葉物野菜もキノコも値上がり。庶民の味方、鍋物の具の構成を財布と相談して決める―しばらくは「今夜は適当に鍋で」と軽く言えない時期が続きそうだ。
こうなれば、鍋はなくとも秋の名残を惜しみつつ、冬の訪れを肴に軽く一杯いくも一興。一睡後は〝つとめて〟を楽しみに。「おきあかす秋の別れの袖の露霜こそ結べ冬や来ぬらむ」(藤原俊成)。