日本の「書道」がユネスコ無形文化遺産に登録される見通しとなった。手書き文字の表現力や暮らしに息づく風習の価値が、世界的に認められたこと自体、誠に喜ばしいことと言える。
この書道文化を根底から支えてきたのが、筆や墨といった道具の存在だ。中でも「豊橋筆」は、毛を水で均一に混ぜ合わせる「練りまぜ」工程により、豊かな墨含みとなめらかな筆運びを生み出す逸品として愛用されてきた。
だが今、後継者不足から豊橋筆の職人が減っているという。長年受け継がれてきた高度な手仕事が途絶えてしまわないか懸念する声も少なくない。
今回の発表で書道に光が当たれば、それを支える道具や作り手の仕事にも注目が集まるはずだ。道具の魅力が見直されることは、伝統工芸を守る大きな一歩となる。
書道文化を未来へつなぐためにも、この快挙が豊橋筆の奥深さに触れ、職人を志す人が増える契機となることに期待したい。