新城市鳳来寺山自然科学博物館で、特別展「心の器―鳳来寺硯(すずり)」が開催されている。来年2月7日まで。
鳳来寺硯は、硯作家の名倉利幸(五代名倉鳳山)さん(72)が博物館近くの工房で制作している。鳳来寺硯を含む「石硯(せきけん)」が、昨年8月に県無形文化財(工芸技術)に指定されたことを記念して企画された。
会場には、五代名倉さん作の硯7点と、父の四代名倉さん作の硯2点を展示し、初代から五代に至る軌跡も紹介している。美術品的価値の高いものだが、鳳来寺山麓で産出の石材を用い、地域資源との結びつきが深いことから、自然科学の視点から紹介している。
展示では、鳳来寺硯の3種類の石材として、泥が固まってできた「鳳鳴石(ほうめいせき)」、火山灰が混ざり煙がかかっているような模様の「煙岩石(えんがんせき)」、表面に輝く黄鉄鉱が見られる「金鳳石」があることを解説している。硯の採石中に発見された新種の深海魚・ホウライミズウオの化石、長篠城跡で出土した鳳来寺硯なども展示されている。
展示硯の中で目を引くのは、雅陵硯「赤舟」(鳳鳴石・朱漆仕上げ)。硯自体を舟に見立て、大陸間を行き交う赤舟の航海をイメージしている。剥離する性質が強い原石をどこまで薄く彫れるか、技術への挑戦だったという。
西村拓真学芸員は「地元の地下資源を使った素晴らしい工芸品と出会い、いかに貴重なものであるかを感じてほしい」と来場を呼びかける。来年1月17日午後1時から、五代名倉鳳山さんを招いた解説会が開かれる。
特別展は、午前9時~午後5時。期間中の休館は火曜と12月30日から来年1月3日。入館料は大人300円、中学生以下100円。問い合わせは、同博物館=電話0536(35)1001=へ。
