何に関心を持ち、何を学んだか―。太平洋戦争終戦の前日、今の田原市で起きた「渥美線電車機銃掃射」の惨事。この記録を語り継ぐ〝出前講座〟教室編が、初開催された田原南部小学校で、東日新聞は参加した1人の動きを追った。「戦争だけはやっちゃいかん」。講座を開いた地元の市民グループ「前日の会」の思いは伝わったのだろうか。連載2回目はその反応にスポットを当てる。
織豊時代が好きな児童/戦争の話 難しいながら実感
■調子に乗った
9月18日の教室編で学んだのが6年生30人。取り上げた1人は、米軍機による機銃掃射で電車の乗客ら31人が死傷した惨事を再現した会の紙芝居『前日物語』の上演を熱心に見つめていた。
しかし、機銃掃射で「血の海」となった車内の惨状や、けが人らが運ばれた病院の混乱した状況には目に留まらず、ナレーターのカラスの「カーばあさん」と孫の「クロちゃん」に目を向けた。「カラスの寿命は10~20年ぐらいなのにカーばあさんは90過ぎ」と紹介されたことにびっくり。病院では「助かりそうな人から手術室に入れたが、今では考えられない」と疑問を持った。
関心を寄せたのが、大戦の話。会は明治時代以降、戦争関連の出来事などを示した短冊を30人全員に手渡し、みんなで黒板に貼っていく授業を進めていった。
日本はアメリカへの真珠湾攻撃によって開戦し、はじめのうちは有利に戦いを進めた。しかし、ミッドウェー海戦で主力空母を失って力が衰え、ガダルカナル島の戦いやサイパン島の陥落でアメリカが勢いづき、硫黄島の戦いで致命的な敗北を喫した。こうした日米の力関係をロープを使って示すと「知らないことばかりだったが、わかりやすい説明だった」と感心した。
これより前に日清、日露戦争で日本は勝ち、「次も勝てると国中が沸いた」との説明に、「(日本は)調子に乗った」と感じた。一方で、「イタリアのように日本が降伏していたら、広島や長崎には原爆が落とされなかったのではないか」。
■真珠湾攻撃悪い
この児童は、歴史で織田信長や豊臣秀吉が活躍した「織豊(しょくほう)時代」が好きなそうだ。講座で学ぶ前には、「戦争がないから学校にも通える。やりたいことができる。平和に暮らせるから戦争が起こらない」と感想を書いていた。ただ、真珠湾攻撃に出た日本については「悪いと思った」と記していた。
1週間後の25日、機銃掃射の「足跡」をたどる現場編で講座が開かれた。この時に戦争に対する考え方を聞いたところ、「事前の感想とほぼ変わらないが、戦争の話は難しかった。しかし、現場を確認して、たくさん話を聞いたことで人間同士が血を流す戦争は良くないと理解できた」と打ち明けた。